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Bb Beauty Knowledge #11

シリーズ血流のトリセツ vol.4

毛細血管を若返らせるTie2(タイツー)って何?
体・肌・髪のアンチエイジングにも! 医師が解説

2024.4.12

体・肌・髪のアンチエイジングにも!

毛細血管の老化を防げば、体の内側からのアンチエイジングが叶います。そのための大きな役割をするのがTie2(タイツー)という受容体。どうすればTie2(タイツー)を活性化することができるのかを赤澤純代先生(金沢医科大学教授)に聞きました。
取材・文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)



毛細血管のダメージを減らすことがアンチエイジングに!

血管には、動脈や静脈のような太い血管と、動脈と静脈をつなぐ髪の毛の10分の1ほどの太さの毛細血管があります。この毛細血管は、すべての血管の9割以上を占めています。すべての毛細血管を1本につなぐと地球2周半の長さになるとも言われています。

「毛細血管の働きは、全部で 60 兆個を超えると言われている私たちの全身の細胞に、酸素や栄養分を届け、二酸化炭素と老廃物を回収して静脈へ送るという重要なものです。毛細血管は、内側の内皮細胞と外側の壁細胞の2つの層になっています。加齢や紫外線、活性酸素の影響で、外側の壁細胞が剥がれると、内側の内皮細胞に隙間ができてしまいます。すると、大切な栄養分や水分、老廃物がモレ出てしまいます」(赤澤先生)

毛細血管のダメージを減らすことがアンチエイジングに!

血管は、外側の壁細胞と内側の内皮細胞がピタッとくっついて安定した構造。栄養分や酸素は必要な場所に運ばれる。

毛細血管のダメージを減らすことがアンチエイジングに!

ダメージを受けると壁細胞と内皮細胞がゆるみ、不安定に。栄養分がモレ出し、無機能血管=”ゴースト血管”となる。

このように、毛細血管にダメージがあると、必要な酸素や栄養分が細胞に届かないばかりか、不要な老廃物や水分を回収するリンパ管の働きも低下します。
毛細血管は、ちょっとした衝撃や摩擦で傷ついてしまうくらい、もろい存在です。また、毛細血管は加齢とともに減少します。30代にくらべると、70代では3分の1近く減少するというデータもあります。
毛細血管がダメージを受けると、肌の老化やからだの冷え、むくみなど、さまざまな弊害が生まれます。

毛細血管のダメージを減らすことがアンチエイジングに!

【45歳を境にモレやすい血管になります】
縦軸が高いほど、モレにくい健康な毛細血管。血管のモレは45歳から始まります。30~44歳に比べると、75~89歳では3分の1近く毛細血管が減少しています。
Journal of Dermatological Science 61(2011)206-207


毛細血管からのモレを防ぐためにTie2(タイツー)受容体が重要

「毛細血管が傷つくことで、影響を受けやすく、わかりやすいのは肌です。肌の奥にある真皮には、毛細血管が張りめぐらされているので、毛細血管が傷つくと酸素や栄養分が行き渡らなくなり、顔にシミ、シワ、たるみなど、目に見える老化が現れます」(赤澤先生)。
健康な毛細血管の場合、二重構造になっている血管の外側の壁細胞からアンジオポエチン‐1という成分が分泌されます。これが血管の内側の内皮細胞の Tie2(タイツ―)という受容体を活性化することで、壁細胞と内皮細胞はピッタリ密着します。
ところが、壁細胞が傷つくとアンジオポエチン‐1が分泌されず、Tie2 (タイツー)が活性化されないので、壁細胞と内皮細胞がはがれて隙間ができてしまい、栄養分や老廃物がモレ出てしまうのです。
傷ついた壁細胞の代わりに、Tie2(タイツー)を活性化させるアンジオポエチン‐1と同じ働きをする成分を摂ることで、壁細胞と内皮細胞をしっかりと密着させて、血管からのモレを防ぐことができます。毛細血管が修復されれば、肌や体に十分な栄養分や酸素が送り届けられ、美肌や健康を取り戻すことができます。

毛細血管からのモレを防ぐためにTie2(タイツー)受容体が重要

【血管モレを防ぎ、毛細血管力を上げるにはTie2(タイツー)の活性化が重要です】
アンジオポエチン‐1が、壁細胞から分泌することで、血管の内皮細胞にあるTie2(タイツー)が活性化します。すると壁細胞と内皮細胞がピタッとくっつきます。ふたつの結合で血管モレが防げます。
資料提供:「Tie2・リンパ・血管研究会」


Tie2(タイツー)を活性化することでアンチエイジングに!

個人差はありますが、毛細血管は更年期に入る45 歳くらいを境に老化していきます。老化が進むと、壁細胞だけでなく内側の内皮細胞までダメージを受けてつぶれてしまい、血液が流れない「ゴースト血管」になります。
「毛細血管は、肌にとって田んぼに流れる水路のようなものです。水が届かずに乾燥すると、周囲の土が乾いて、溝が崩れてしまいます。肌に同じことが起こると、シワやたるみができてしまうのです。Tie2(タイツー) を活性化して毛細血管が正常になると、体の細胞に若返りスイッチが入ります。すると、水路が水で満たされるように、肌細胞も栄養分で満たされ、若々しい肌を取り戻すことができます。アンチエイジングのためには、少しでも老化を感じたら、なるべく早く Tie2(タイツー) を活性化させて、ゴースト血管化するのを予防することが大切です」(赤澤先生)。


Tie2(タイツー)作用でシワ予防、むくみ防止、育毛、アイケアにもなる

歳を重ねて毛細血管が老化すると、肌の衰えだけでなく、目の疲れ、関節痛、物忘れがひどくなる、薄毛、ED、メタボリックシンドロームなど、体のさまざまな部分に影響が出るとされています。
Tie2 (タイツー)を活性化して、細胞の若返りスイッチを入れることで、これらの悩みも改善されます。肌だけでなく、体のアンチエイジングも期待できるのです。
「Tie2(タイツー) が活性化して毛細血管が修復されることで、効果がわかりやすいのは肌です。酸素や栄養分が肌細胞に送られることにより、ターンオーバーが正常になり、コラーゲンやエラスチンなどのうるおい成分をつくり出す線維芽細胞も元気になり、透明感のある美しい肌がつくられやすくなります」(赤澤先生)

Tie2(タイツー)作用でシワ予防、むくみ防止、育毛、アイケアにもなる

また、Tie2 (タイツー)が活性化することによって、髪の毛が美しくなる効果も期待できます。頭皮の毛根の下は、毛細血管が網の目のように取り巻いています。毛細血管が劣化したり減少すると、髪の材料になる栄養分が届かなくなり、髪が細くなったり、抜けたりしてしまいます。Tie2 (タイツー)が活性化することにより、毛細血管が安定するので、毛根に十分に栄養が運ばれ、ハリのあるきれいな髪を保つことができます。
ほかにも、Tie2(タイツー) が活性化して毛細血管が安定することで、スリミング効果が期待できます。血管が安定することで、リンパ管は余分な水分や老廃物をスムーズに回収できるようになり、セルライトがつきにくい体になります。また、血行が促進されると、体の冷えやむくみが解消されて、基礎代謝もアップするので、太りにくく、やせやすい体に変わっていきます。


植物の力でTie2(タイツー)を活性化させる!

毛細血管の劣化やモレを防ぎ、肌や体の元気を取り戻すためには、私たちは何をすればいいのでしょう?
「ひとつは、Tie2(タイツー)を活性化してくれる成分を意識して摂ることです。Tie2(タイツー)単体では、毛細血管のアンチエイジングはできません。本来なら、壁細胞から分泌されるアンジオポエチン‐1が内皮細胞の Tie2(タイツー)を活性化させることで、壁細胞と内皮細胞がしっかりとくっつき、血管が安定して健康な状態を保つことができるのです。
このアンジオポエチン‐1の分泌を増やせればいいのですが、傷ついたり、老化してしまった壁細胞からでは、分泌も減少してしまいます。そこで、Tie2 (タイツー)を活性化させるアンジオポエチン‐1に替わって、似た働きをする成分を摂ることが重要になってきます」(赤澤先生)
アンジオポエチン‐1の代替品になる成分は、実は、シナモンやルイボス、かりん、月桃、ヒハツ、グァバ、サンザシなど、私たちにとって身近な植物に多く含まれています。これらを上手に取り入れることで、Tie2(タイツー)を活性化させることができるのです。

Tie2(タイツー)を活性化させるために植物の力を借りましょう!

Tie2(タイツー)活性作用をもつ植物には、このようなものがあります。
これらの植物には、アンジオポエチンー1の代替作用があることが動物実験でわかっており、人での量は食品ですので、明らかではありません。しかし漢方薬の効能がわかっていることから、植物の力を借りることができるのでは、と考えられています。

Tie2(タイツー)を活性化させるために植物の力を借りましょう!

Tie2(タイツー)活性化植物の使い方

Tie2(タイツー)を活性化させるこれらの植物を使った日常生活でできる毛細血管を健康にするアイデアを紹介します。毎日の生活に取り入れて、毛細血管を元気にしましょう。Tie2(タイツー)が活性化することによって、毛細血管やリンパ管が安定すると、肌やからだに、さまざまな効果が期待できます。
「ヒハツ」を料理に振りかけてみてはどうでしょう。ヒハツとは、ロングペッパーという名前で、少し甘い香りと、コショウのような辛みを持つスパイスです。スーパーのスパイスコーナーに売っています。ヒハツを常備しておいて、肉料理やカレー、炒めものにひと振りします。
また、コーヒーや紅茶の代わりに、「ルイボスティー」を飲むのもいいでしょう。デザートやドリンクに「シナモン」をひと振りするのもいいですね。乾燥する季節は、「かりん」ののどアメもおすすめです。

かりんバスソルトで手浴や入浴を

かりんバスソルトで手浴や入浴を かりんバスソルトで手浴や入浴を

〈かりんオイルエキスの作り方〉
「からだの芯からキレイになる!美容酵素Tie2(タイツー)マジック」より

乾燥したかりんの果実を3g、日本薬局方オリブ油(薬局で売られている)300㎖、お茶用パック袋1枚
1 乾燥かりん果実をお茶用パック袋に入れる
2 鍋に日本薬局方オリブ油を入れて60℃まで温め、火を止めて約1時間浸して取り出す
3 2が冷めたら保存瓶などに移す

〈かりんオイルエキスを使った「かりんバスソルト」の作り方〉

天然塩 大さじ1~5
かりんオイルエキス 1~5滴を加えて混ぜる

参考文献/『からだの芯からキレイになる!美容酵素Tie2(タイツー)マジック』高倉伸幸(大阪大学教授・医学博士)監修、Tie2・リンパ・血管研究会編著


毛細血管は、内側の内皮細胞と外側の壁細胞の2つの層になっています。加齢や紫外線、活性酸素の影響で、外側の壁細胞が剥がれると、内側の内皮細胞に隙間ができてしまい、大切な栄養分や水分、老廃物がモレ出てしまいます。肌の奥にある真皮には、毛細血管が張り巡らされているので、毛細血管が傷つくと酸素や栄養分が行き渡らなくなり、顔にシミ、シワ、たるみなど、目に見える老化が現われます。毛細血管の老化を防ぐには、Tie2(タイツー)受容体を活性化させることが大切。Tie2(タイツー)を活性化させる身近な植物を利用することで、毛細血管の老化を防ぎ、モレを防ぐことができます。毛細血管が若々しいと、肌の衰えだけでなく、むくみ、目の疲れ、関節痛、物忘れ、薄毛、メタボリックシンドロームなども予防できます。


赤澤純代 先生
金沢医科大学総合内科学教授

金沢医科大学女性総合医療センターセンター長。1992年金沢医科大学卒業。東京大学第3内科研究医、金沢医科大学循環器内科を経て現職。専門は、女性医療、漢方、高血圧、抗加齢など。血流、血管の中でも特に微小循環に着目、未病の段階から改善する予防医療を実践。著書に『血流美人~温め流し、排出する この3段階で若返る!』、『血管の強化書』(ともにワニブックス)。

赤澤純代 先生
Sumiyo  Akazawa


取材・執筆:増田美加
女性医療ジャーナリスト

30年以上に渡り、女性のヘルスケアと女性医療を専門に取材執筆。乳がんを経験し、女性のがんについて啓発活動を行う。フェムテックのセミナーも好評。著書に『お肌もからだも心も整えてくれる 女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。

増田美加
Mika Masuda
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